カメラをワンタッチで着脱できる便利アイテムに「クイックリリース」というものがある。
今では多くのユーザーが使用している「Capture」を生み出したPeak Designを始め、某密林では類似品も販売されているほど多くのユーザーに愛用されている製品の一つだ。
僕自身もカメラ関連のアクセサリー色々と使ってきたが、なんだかんだで3年以上Peak DesignのCaptureを愛用している。
長く使ってきたこともあってなかなか気に入っているのだが、逆に長く使ったからこそ気になった不便に感じる場面も結構あったわけで。
というか、このスタイルに飽きてきたっていうのも少しある。←
そんなこんなで、今回長年使ってきた相棒がアップデートされるされるほど僕が求めていたアイテムを発見したので、レビューしていきたい。
Ulanzi F38クイックリリースの概要
今回導入した新しいアイテムは、Ulanziというメーカーの「Falcam F38クイックリリースシステム」、その中でも「カメラストラップクリップ」というもの。
この商品がどういうものか簡単に言うと、“カメラストラップをクイックリリース化できる” 商品だ。
内容はマウント部と専用のプレートとなっている。
本体はアルミ製のしっかりとした造りで、余計なロゴなんかもあったりするが、製品全体として安っぽい量産品という感じは微塵もない。
ちなみにクイックリリースの重量は 約59g、プレートの重量は 約16g となっている。
マウント部はリリース用のボタンと、四隅にストラップホールが設けられている。これを利用してストラップをクイックリリース化するわけだが、詳細は後述する。
リリースボタンはレバーを引っ張りながら90度回転させることでロックのかかる安心設計。
専用のプレートは一般的な三脚用プレートとあまり変わらないが、背面はクイックリリース用に少し複雑な構造となっている。
ボルトの固定はマイナスドライバーとなっており、コインなどでも取り外しができるのは嬉しい設計だ。
もちろん、このプレートの規格はアルカスイス互換だ。
クイックリリースの着脱方法
クイックリリースの着脱方法は簡単で、マウント部に専用プレートをスライドすることで着脱できる。取り外す時はマウント部のリリースボタンを押しながら反対にスライドするだけだ。
プレートは縦横同じ構造となっているため、どの方向からもクイックリリースに装着することができる。
カメラの三脚ネジの位置によってプレートの装着方向が異なってくることもあるため、これはありがたい設計だ。
ストラップとの組み合わせ
ストラップホールは平型のもので、ほとんどのストラップに対応している。
もちろん先端が二重カンのストラップでも使用することが可能で、僕は以前このブログでも紹介した「Cam-in」のロープストラップを使っている。
125cmのものを使うと、ちょうどいい長さでたすき掛けをする事ができる。
ちなみにたすき掛けでカメラを持ち運ぶ場合、ストラップは対角線上に取り付けることでカメラが暴れにくくなる。
ストラップホールが4箇所もあるため、取り付ける位置を変えることで首からかけるようにもできる。
ただ、お腹にレンズがぶつかるような配置になるため、長いレンズなどをつけるとかなり気になるだろう。
個人的にはたすき掛けで使うことが推奨だ。
三脚をクイックリリース化
クイックリリースは裏面の六角ボルトを4本外すことで、ストラップホールを取り外すことができる。
ちなみに クランプ部のみの重量は 約38g となっている。
背面には1/4ネジもあり、クランプ部自体もアルカスイス互換となっている。
このクランプを三脚に取り付けることで、三脚もクイックリリース化することができる。
他のF38シリーズ
「F38シリーズ」は他にも今回購入したストラップクリップの他に「クイックリリースクランプ」のみと「カメラホルスター」というものがある。
クイックリリースクランプは上記のクランプ部のみで、三脚などの機材もクイックリリースに統一するのにちょうどいいアイテムだろう。
カメラホルスターはPeak DesingのCaptureのような製品で、バックパックのストラップやベルトにカメラを固定することができる。
この記事で紹介しているストラップクリップと組み合わせて使うことで、ストラップとホルスターと使い分けることができ、三脚やジンバルなどにも簡単に切り替えることができる。
様々な機材を使い分けているユーザーほど「F38シリーズ」をより便利に感じるだろう。
使用感
この商品の最大の特徴は、簡単にストラップを取り外しできることと、余計な付属品を必要としないことだ。僕が今回、Peak DesingのCaptureから乗り換えを決めたのはまさにここにある。
着脱可能なストラップは基本的に接続するための付属品(Peak Designで言うとアンカーリンクス)をカメラに取り付けたままにする必要がある。
個人的にはこういうものが意外と邪魔に感じたりすることも多いし、見た目的にもあまり付けておきたくない。
一方でUlanziのストラップクリップは専用のプレートをベースに取り付けるだけのため、三脚を使うユーザーであれば余計な接続パーツを付ける必要がない。
また、着脱可能なストラップはカメラの左右二箇所の接続部を外す必要があるが、この商品は接続部が一箇所だけのため、より素早くかつ簡単に着脱することができる。
応用することで三脚もクイックリリース化できるのもかなり利便性が高い。
三脚への固定も特に面倒だと感じたことはないが、一度クイックリリースの手軽さを味わってしまうとネジを締めるのがかなり煩わしく感じるようになった。
クランプ部での微ブレやカメラの固定性に不安を感じる人もいるかも知れないが、Ulanziのクイックリリースはかなり安定していて、ネジで締めるよりもむしろ安定感があるように思う。
ただし、結構ピッタリめのフィット感でガタつきも少ない分、着脱はやや渋め。
注意点だが、三脚をクイックリリース化する場合、通常のアルカスイス互換のプレートはクランプすることができないのでカメラを複数台使用する場合はUlanziのプレートで統一する必要がある。
(このプレートが単品で購入できないのがちょっと難点かもしれない…)
Peak DesignのCaptureと比較
圧倒的に安い
まずは価格だが、F38シリーズはCaptureと比較すると圧倒的に安い。
今回僕が購入したストラップクリップであれば半額以下、Captureと使い勝手の似ているベルトクリップタイプのものでも数千円安く購入することができる。
もちろん、それぞれでクオリティーや使い勝手が異なるため比較するべきところは他にも多いが、価格だけをみるとUlanziのクイックリリースはかなり魅力的ではないだろうか。
ガタつきが少ない
Captureはややゆとりのある設計がされていて、カメラをかなりスムーズに着脱することができる。慣れれば片手でも着脱することができるほど滑らかだ。
その反面、装着した際はややガタつきがあり、歩いたりすると少しカチャカチャ音がする。
別にカメラが外れたりするわけではないため特に問題はないのだが、気になる人は気になるだろう。
一方でF38シリーズは、プレートとマウントのクリアランスがピッタリで、ガタツキはほとんど無い。
これだけガタつきが少なければ、三脚で使用しても微ブレなどは心配せずに使えると思う。
ただ、前述したように着脱時には真っ直ぐに入れないと引っ掛かりを感じることもある。
使い込んで馴染めばスムーズに入るようになるが、慣れるまでは少しストレスを感じるかもしれない。
このあたりはチープさと言うよりは設計の違いに感じるため、「着脱のスムーズ」さか「装着時の安定感」かの違いで選ぶのもいいだろう。
汎用性が高い
Captureはバックパックのベルトに固定するか、Pro padを利用して腰からぶら下げるかが主な利用方法となるが、 F38シリーズは種類もいくつかあるため様々な使い方ができる。
今回僕が購入したストラップクリップも、ストラップホールを取り外すことで三脚ネジなどのネジ穴を利用できるようにもなるため、他の機材もクイックリリース化する事ができる。
マウント部がアルカスイス互換になっているのも汎用性を上げているポイントの一つだ。
機材をF38シリーズに統一することで、かなりスムーズに機材の切り替えが可能となるだろう。
用途やシチュエーションに応じてベルトマウント、ストラップマウント、三脚の取り付けなどが簡単にスイッチできるのはかなり便利だと思う。
Captureとの互換性は?
ちなみにだが、Peak DesingのCaptureはかなり構造の似たアイテムで同じアルカスイス互換だが、この製品に付属しているプレートには両者の互換性は無い。
ベースプレートの使い回しなどもできないため、どちらかからもう一方へシステムを乗り換える際は注意が必要だ。
現在はPeak Desingの製品と互換性のあるプレートが単体で販売されている。
両者を併用したいユーザーにはオススメなアイテムだ。
最後に
トータルの組み合わせとしては、僕の愛用しているX-Pro3のようなクラシカルなカメラには似合わないが、ストラップと三脚の着脱をクイックリリースで統一できるのはかなり便利だ。
現時点ではストラップクリップと三脚にしか使ってはいないが、それだけでも十分恩恵を感じる便利さだ。
Ulanziのクイックリリースシステムはバリエーションもいくつかあるため、多様なユーザーに対応できる汎用性の高さはかなり評価できるポイントだと思う。
ストラップを使いたいけど、収納するときに嵩張るのが嫌だったり、カメラを三脚に立てた時に邪魔だったり、撮影時のアングルを変えるたびにストラップの存在が気になるなんていう、僕のようなこだわりの強いワガママユーザーにはかなり刺さる商品ではないだろうか。
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