RICOH GR III(GR3) レビュー|高い機動力と汎用性を備えたポケッタブルコンデジ

CAMERA

僕はもう3年ほどFUJIFILMユーザーなのですが、久しぶりにFUJIFILM以外のメーカーのカメラを購入しました。

購入したのは RICOH の「GRⅢ」という、スナップシューターとして歴史ある ”GR”シリーズの最新モデルです。

GRシリーズは以前から気になってはいたのですが、今回ついに自分の機材リストに仲間入りしたのでレビューしてみたいと思います。

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GRⅢの概要

「GRⅢ」は、RICOHから発売されているコンパクトデジタルカメラで、2015年に発売された「GRⅡ」から多くの機能がアップグレードされて2019年に発売された最新モデルです。(2020年現在)

まずは簡単な概要でも。

レンズ18.3mm(35mm換算 約28mm)
F2.8~16
4群6枚(非球面レンズ2枚)
有効画素数約2424万画素
撮影距離範囲標準:約0.1m~∞
マクロモード:約0.06m~0.12m
シャッタースピード1/4000~30秒
( F2.8:1/2500秒まで、F5.6以上:1/4000秒まで)
背面モニター3.0型TFTカラーLCD (アスペクト比3:2)
約103.7万ドット
バッテリー撮影可能枚数:約200枚
外形寸法[幅]約109.4 ×[高さ]61.9 ×[奥行き]33.2(mm)
質量約257g(バッテリー、SDメモリーカード含む)
詳細は 公式HP より

外観

※ 下記のGRⅢは専用アクセサリー「リングキャップ [GN-1 (DG)]」と「メタルホットシューカバー [GK-1]」が装着されたものになっているので、純正品とは異なります。

GRⅢはシンプルなルックスで、余計な装飾を省いた無骨さがカッコいい。

ボディはかなりコンパクトにまとめられており、デニムの後ろポケットに入れて持ち運べるほどのサイズ感。

カメラ自体の素材感もパッと見た感じは少しチープな印象もありますが、マグネシウム合金という剛性・耐久性の優れた素材が使われています。

天面には電源スイッチ、シャッターボタン、モード切替ダイヤル、フロントダイヤルというシンプルな構成。

モード切替ダイヤルにはロックが付いていて、誤操作が起きにくいようになっています。

背面のボタンレイアウトは少し窮屈な印象。

前モデルのGRⅡと比べるとシンプルになったようですが、狭い面積にこれだけのボタン類が配置されていると操作性に関してはあまり良くないようにも感じました。

ただ、ボタンやダイヤル類がカメラの片側に集中しているので、片手ですべての操作を完結できるのはメリットに感じる人も多そう。

これはコンパクトなカメラあるあるなんですが、三脚穴はレンズの軸とはズレた位置に配置されています。

これだけコンパクトなカメラなのでそれは仕方ないとしても、これだと三脚固定用のプレートなんかを付けるとバッテリー交換やSDカードの取り外しができなくなっちゃうんですよね。

三脚に固定するようなカメラではないとは思いますが、個人的にはもう少し頑張って欲しかったポイントですね…。

GRⅢのレンズは沈胴式で、電源OFFではレンズバリアがかかり、電源ONでレンズが約13mmほどせり出す構造になっています。

また、GRⅢは起動の速さがかなり優れていて、電源ONから 約0.8秒 で撮影可能な状態になるのだとか。

レンズはこのサイズ感の代償に、絞り調整ダイヤルなんて便利なものはもちろん搭載していませんし、フォーカスリングすらもありません。

なので、マニュアルフォーカスに関しては少し慣れが必要な操作感です。

GRⅡからのアップグレード

GRⅡからGRⅢへのアップグレードがかなり凄まじく、ちょっとリストにしてみました。

Positive

  • 若干コンパクトになって、重量は約6gアップ
  • タッチパネル搭載
  • 外部インターフェースがUSB Type-Cに
  • 画素数アップ、画像処理エンジンのアップグレード
  • ローパスフィルターが調整可能に
  • ダストリムーバルの搭載
  • 手振れ補正(3軸4段)の搭載
  • AFが進化(コントラストAFと像面位相差AFのハイブリッド)
  • 最短撮影距離が拡大
  • 起動時間が短縮

Negaive

  • フラッシュが非搭載
  • バッテリー(撮影可能枚数)が悪くなった

前モデルのGRⅡもかなり優秀な機種で、現在では中古価格がかなり落ち着いているのも魅力的なのですが、こうやって比較するとGRⅢを購入した方が幸せになれる気がします…

特に個人的にグッときたのが タッチパネル手振れ補正 の搭載ですね。

GRシリーズというとそのコンパクトさが特徴的ですが、コンパクト過ぎるのも操作性が悪かったりするので、タッチパネルによって直感的な操作ができるのはかなり魅力的ですね。

また、このコンパクトボディに手振れ補正が搭載されているのも、日常使いがメインの僕にはかなりありがたいポイント。

他のカメラとサイズ比較

僕がメインで使用しているFUJIFILMの「X-Pro3」とGRⅢのサイズ比較をしてみました。

X-Pro3も比較的コンパクトなカメラではありますが、比較するとGRⅢのコンパクトさが凄まじいことがわかります。

厚さもかなり薄く造られています。
この薄さで写真を撮るための装備が揃っているのは、沈胴式のレンズを採用している恩恵ですね。

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作例

(作例は全てlightroomにてRAW現像したものになります。)

換算約28mmの画角はスナップからちょっとした風景写真まで撮影できる意外と万能な画角。

10mm台の画角のレンズや広角レンズとして多い24mmの画角と比べるとややダイナミックさには欠けますが、十分に風景も撮れる画角かと思います。

GRⅢのレンズはかなりキレのある写りをするので、建造物などを撮るとディテールや立体感なども綺麗に写るなという印象。

僕の場合は、比較的広角な画角とも相まって、建築物を撮るのにかなり多用しています。

GRⅢは最短撮影距離もかなり短いので、建築物に限らず、植物の写真も得意。

少し離れて全体を撮るも良し、寄ってマクロ的に撮るも良し。いろんな楽しみ方ができると思います。

人物写真に関しては、28mmという画角と解放F値が2.8というスペックから、背景をボカして被写体を立体的に写すというよりはシチュエーションごと“シーン”を写すという感じになるのかなと思います。

身構えていない自然体な写真が撮れるので、やっぱりスナップ的な要素が強いのかなという感じです。


ポケットからスッと出してこれだけいろんな写真が撮れたら十分すぎる役割を担ってくれているかなと思います。

そう、結局何でも撮れちゃうのがGRⅢ。

GRⅢの使用感

次にGRⅢの使ってみて感じた ”良いポイント” と ”気になるポイント” に分けてみました。

良いポイント

  • サイズ感が最高
  • クロップがRAWでも記録される
  • サブ機としてベストなスペック

気になるポイント

  • ダストリムーバルは期待できない…
  • ファインダーはやっぱり欲しい

サイズ感が最高

GRⅢのなによりも良いポイントはこのサイズ感。

APS-Cという比較的大型のセンサーを積んでいながらポケットにも入るほどの携帯性、スナップシューターとしての機動力の高さはさすがGRシリーズと言ったところ。

これだけコンパクトで軽量だと、カメラを持ち出すというハードルがグッと下がるので、写真を撮りに行く時に限らず、ちょっとした散歩や買い物なんかでも持ち歩こうという気になります。

クロップがRAWでも記録される

公式HPより

このGRⅢはクロップモードで 35mm(約15M)、50mm(約7M)と画角を変えることができるのですが、RAWで記録した場合もクロップされた状態で写真が保存されます。

RAW現像の際に、記憶を頼りに改めてクロップする必要はないですし、余計な手間が省けるのでかなり便利です。

ちなみに、僕はGRⅢをこのブログでの記事に使用する「物撮り」に使っているのですが、このクロップモードがかなり役立ってくれています。

普通にズームレンズを使えば?ってところですが、屋内で大きめのズームレンズを振り回したくないし、三脚を使用するならコンパクトなGRⅢの方が安定します。(というかズームレンズを持っていない←)

サブ機としてベストなスペック

GRⅢには換算約28mmのレンズが搭載されているのですが、この画角が「サブ機」としてはベストの画角だなと感じています。

僕は以前、サブ機に「X100F」というカメラを使っていました。

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X100Fには換算35mmのレンズが搭載されているのですが、建物や風景などの「記録写真」を撮るには少し画角が狭いように感じていました。

対してGRⅢは28mmという比較的広角な画角と使いやすいクロップモードがあるので、様々なシチュエーションで対応できる応用力があります。

また、前述したように持ち運びが苦にならないサイズ感・軽量さも相まって個人的には「ベスト オブ サブ機」だと思っています。

ダストリムーバルは過信できない?

GRシリーズには沈胴式というレンズ構造が故に ”センサーダスト問題” が昔から語り継がれていました。

そのセンサーダストを除去するにはリコーに直接製品を送って清掃してもらうしかなく、手間と時間と想像以上の料金がかかるという恐ろしいイベントです。

GRⅢになってついに「ダストリムーバル」が搭載されたものの、効果については過信できないなという印象。

僕自身、購入してすぐにセンサーにゴミが付着してしまって、写り込みが気になっていました。

ダストリムーバルを何度か試してみたものの、特に除去できたという感じでもなく…(気づいたらいつの間にか無くなってたんだけども…)

ダストリムーバルは、センサーダストを ”浮かせる” 的なイメージで、決して即効性のある機能ではないと思っていた方が良いと思います。

ファインダーはやっぱり欲しい

GRⅢにはファインダーが搭載されていません。

僕が個人的にファインダーを覗いて撮るのが好きっていうのもありますが、やっぱり ”写真を撮っている” という感覚を楽しむという上ではファインダーは欲しかったな~というところ。

あと、晴れた天気の状況ではやっぱり液晶モニターだけではプレビューが確認しにくいってのも気になるポイント。
(簡単に画面の明るさを調整できるので、ある程度は対応可能です)

ただ、良い意味で ”スマホで撮っている” 感覚に近く、肩肘張らずにラフに写真を撮れるので、今まで写真を撮ろうと思わなかったシチュエーションでも写真を撮ろうという気にさせてくれます。

最後に

GRⅢはスナップ撮影をメインで行っている人はもちろん、サブ機としても頼れるカメラになっています。

特に僕のような単焦点レンズをメインに使うユーザーなんかには、広角で撮りたいシーンでレンズ交換の手間を省くことができますし、場合によっては広角レンズ1本分よりもコンパクトに持ち運ぶことができます。

「GRⅢ」は、スナップシューターとしてのメインカメラの側面を持ちつつ、サブカメラとしての汎用性の高さも持った、“ポケッタブルコンデジ”です。

丼

GRⅢを購入してカメラを持ち出す機会が増えたので、やっぱりこのコンパクトさは偉大だ…

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