個人的に所有するレンズとして外せないのが「35mm」の単焦点レンズなのだが、日常的に使うレンズだからこそ描写性能や携帯性、使い勝手など求められる条件も多かったりする。
そんな筆者のワガママにも応えてくれるのがSIGMAの「35mm F2 DG DN Contemporary」だ。
この記事では、このレンズのレビューを作例などとともにお届けしたい。
※ このレンズは「SONY Eマウント用」と「ライカ SLマウント用」があります
概要
「35mm F2 DG DN Contemporary」は、高い光学性能とビルドクオリティを追求したSIGMAの「Iシリーズ」の一本だ。
レンズ構成 | 9群10枚 |
画角 | 63.4° |
最短撮影距離 | 27cm |
外形寸法 | Φ70mm × 65.4mm |
質量 | 325g |
フィルターサイズ | Φ58mm |
レンズボディからフォーカスリングに至るまで、筐体全てが金属素材の削り出しで作られている。
高級感があるのはもちろんだが剛性感もかなり高い。
比較的軽量なレンズではあるが、金属らしいズシっとした重量感とひんやりとした質感がなんとも言えないモノとしての良さを感じさせてくれる。
金属製のレンズ故に指紋などはすこし目立つが、ラバー素材などを用いていないためホコリなどの付着はあまり気にならない。
このレンズには絞りリングがあり、レンズ側からF値の設定を行うことができる。
適度なクリック感とドライなトルク感が心地よく、意味もなく回してしまいたくなる感触だ。
同じ画角である「35mm F1.4 DG DN|Art」のような絞りリングのデクリック機能は付いていないため、動画も撮るというユーザーには注意が必要だ。
レンズ側面にはフォーカスモード切り替えスイッチを搭載している。
スイッチがレンズの短軸方向へ操作するようになっており、配置されている場所も絶妙で操作性が非常に良い。
付属のフードも金属製で、表側にはローレット加工、内側には遮光線加工まで施されている非常にクオリティの高いフードとなっている。
フード基部だけは樹脂素材となっており、着脱する際の感触も良好。
また、Iシリーズ独自の「マグネット式 メタルキャップ」が付属しているが、フード装着時には外しにくかったり、レンズフィルターを付けていると使用できないなどの問題があるため筆者は使用していない。
非常に良いアイテムなだけあって惜しい。
レンズ装着例
LUMIX S5
特に違和感もなく、サイズ感も程良い。
S5は操作性が優れているため、絞りリングを搭載したレンズと組み合わせるとマニュアル撮影が非常に快適だ。
SIGMA fp
さすが同社製品だけあってレンズ装着時のルックスも非常に良いため、SIGMA fpには付けっぱなしのレンズにしている。
軽量で使い勝手も良いので、最も持ち出す頻度の多い組み合わせだ。
作例と使用感
SIGMAといえば描写性能に特化した「Artレンズ」の印象が強いが、「Contemporaryレンズ」もピント面のキレはArtにも劣っていないと思う。
遠景でも細かい花や葉っぱまで解像している、線の細い緻密な描写だ。
硬質な物と軟質な物それぞれの質感描写や、ヌケの良いクリアな描写は、さすがSIGMAのレンズ。
特に、絞り開放での被写体の立体感やスッキリとした空気感は非常に好みの写りだ。
コントラストや光の反射が強いシチュエーションではわずかにフリンジが出てくることもあるが、総じて各収差が気になるシチュエーションは少ない。
35mmという画角はスナップ的に使うことが多く、引きから寄り、風景からテーブルフォトまで、非常に汎用性が高い。
それでいてこれだけ軽量・コンパクトなレンズなのだから、デイリーユースには最適なレンズだ。
ポートレートというほどではないが、人物撮影の作例もいくつか用意してみた。
開放絞りはF2とやや控えめな数値ではあるため、ボケが少しザワつくこともあるがボケ感は必要十分かと思う。
ピント面がきちんと解像されているため、ボケが少なくても被写体の立体感はきちんと表現されている。
解像感が高い分、写真がやや硬い印象となることもある。
RAW現像の段階で「テクスチャ」や「明瞭度」を下げることで対応できるが、ポートレート向きのレンズとは言えないかもしれない。
また、気になる点があるとすれば、”レンズの味”と言うには周辺減光がかなり目立ち過ぎるため、カメラ側での設定やRAW現像での補正は必須だろう。
終わりに
「SIGMA 35mm F2 DG DN Contemporary」は、ビルドクオリティーが注目されることが多いが、Contemporaryラインだからと言って描写性能も妥協されていない。
また、絞りリングを搭載していたり、フォーカスモード切り替えスイッチの使い勝手も良かったりと、モノとしての完成度が良いバランスで共存している。
総合的に評価して、とにかく所有満足度の高い一本だ。
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