LUMIXのSシリーズレンズの中で(2022年現在で)唯一存在する中望遠画角の単焦点レンズである「LUMIX S 85mm F1.8」。
軽量・コンパクトでありながら描写力だけでなく、バランスの取れた性能が魅力なレンズだ。
今回は、その「LUMIX S 85mm F1.8」をレビューしていきたい。
概要
LUMIX S 85mm F1.8は、描写性能・サイズ・操作性を統一した「F1.8 単焦点シリーズ」の中望遠画角を担っている一本だ。
このシリーズは、ジンバルなど他機材との親和性が良い、操作性が同一なため撮影時のアクションを統一できる、フィルターを流用できる、などの特徴がある。
シリーズに含まれるレンズ間ではサイズに差がないため、カメラバッグに収納したりする時にも助かる。
レンズ構成 | 8群9枚 |
撮影距離範囲 | 0.8m〜 |
外形寸法 | Φ73.6mm × 約82.0mm |
質量 | 約355g(レンズフード、キャップ類を含まず) |
フィルターサイズ | Φ67mm |
レンズの仕様は同シリーズの「LUMIX S 50mm F1.8」と同様で、樹脂製の筐体にフォーカスモード切り替えスイッチがあるのみのシンプルな構成。
金属製のレンズと比べて高級感には劣るが、軽量で冬場などでも温度が変わりにくいのが樹脂製レンズのメリットだろう。
レンズ自体の剛性感も全く気にならないレベルに仕上がっている。
その他にも防塵・防滴や−10℃の耐低温設計、リニアモーターを採用した高速AFなど、嬉しい仕様がこのコンパクトなボディに詰まっている。
また、フルサイズ用のレンズとしては手の出しやすい価格設定もありがたいポイント。
レンズフードはスイッチ型ロック機構付きの丸型フードが付属する。
フードを付けるとせっかくのコンパクトさが損なわれるため筆者は使っていないが、レンズ保護的には装着推奨だ。
同シリーズの「50mm」と比較しても外観上の違いは焦点距離の表記くらいで、デザインは共通。
同一メーカーでも焦点距離が異なればデザインは似ていても、サイズが違ってくるものだが、ここまでデザインやサイズが同一のレンズシリーズは珍しい。
描写の特徴というか、画作りもかなり寄せて作られているようだが、筆者的にはそこはあまりわからなかったというのが正直な感想だ。
レンズ装着例
LUMIX S5
手ブレしやすい中望遠レンズには嬉しいボディ内手ぶれ補正を搭載しているため、扱いやすい組み合わせだ。
バリアングル液晶と中望遠レンズの相性も良く、さまざまなバリエーションの写真を撮影しやすい。
SIGMA fp
SIGMA fpに装着しても見た目的にも重量的にもバランスが良い。
とにかく持ち運びが楽で、サブカメラとしてバッグに忍ばせておいたり、スナップ撮影で活躍する組み合わせだ。
作例と使用感
※ 以下の写真はLightroomで編集してあります
まず気になる描写は、ディティールの再現性も高く、非常に繊細な写り。
高い解像度・線の細い描写・クリアな空気感は、良くも悪くも現代的なレンズの描写だと思う。
各収差の抑制や逆光耐性が特別優れているという印象は無いが、気になることもほとんど無いため優等生なレンズと言えるだろう。
最短撮影距離は80cmと、この画角のレンズとしては標準的。
マクロ的に使うことはできないが、意外と寄れるなという印象だ。
質感の表現もなかなか。
ほどよく圧縮効果も出てくれるので、中望遠域ならではのインパクトのある写真を撮ることができる。
絞っても線が太ることもなくパキッと写る。
ボケに関しては、とろけるような滑らかさは無いが、それほどザワつくようなこともない印象だ。
また、85mmの画角は余計な写り込みを減らした写真を撮るのも得意だ。
写真の情報量を整理することで、一部を切り取ったようなスナップも面白い。
遠景でも解像感を維持していて、ユルい感じは全くないシャープな描写。
85mmという中望遠画角とF1.8のF値となるとボケ感は十分過ぎるくらいで、ポートレート撮影でも全然使えるスペックだ。
バキバキに解像するレンズでは無いため、適度な柔らかさがあり、ポートレートでも使いやすいレンズだろう。
軽量・コンパクトなレンズのため、気軽にポートレート撮影を楽しむことができる。
最後に
このコンパクトさでありながら描写性能も高く、軽くてコンパクトなレンズのため、バッグに忍ばせておけばここぞという時に役立つ一本だ。
筆者のように、時々スナップで使ったり、たまにポートレートを撮るといった頻繁に中望遠を使うわけではないユーザーにとっては、カジュアルに使える中望遠レンズだと思う。
このレンズに限らず、LUMIXの「F1.8シリーズ」は、持ち運びの負担の少ないサイズ感、高い描写性能・ハードユースにも耐えうるレンズ設計など、レンズとしての魅力も多いため他のラインナップも揃えたくなるシリーズだ。
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