35mmは筆者が最も重要視している画角で、描写力に定評のある”Artライン”である「SIGMA 35mm F1.4 DG DN」を購入した。
以前まで同社の「35mm F2 DG DN」を使用していたが、フルサイズならではのボケ感を味わってみたくて買い替えを決めた。
今回は、このレンズを作例とともにレビューしていきたい。
※このレンズはSONY「Eマウント用」と、Leica「Lマウント用」があります。
SIGMA 35mm F1.4 DG DN Art の概要
「SIGMA 35mm F1.4 DG DN」は、描写性能に特化したSIGMAの「Art」ラインの一本だ。
ミラーレスカメラ用に設計されたことにより、レフ機時代のものよりも小型・軽量なレンズとなっている。
レンズ構成 | 11群15枚 |
撮影距離範囲 | 0.3m〜無限 |
外形寸法 | φ75.5mm × 109.5mm(Lマウント) |
重量 | 645g(Lマウント) |
フィルター径 | φ67mm |
マウント | Eマウント、Lマウント |
このレンズには絞りリングが搭載されていて、レンズ側からF値を設定することができる。
クリックのON/OFFも切り替えられるため、動画撮影にも配慮されている設計。
マウント基部の金属感やArtレンズを象徴するバッジなど、価格に比して高級感のある質感だ。
その他には、フォーカス切り替えスイッチ、AFLボタン、絞りロックスイッチを搭載している。
レンズ自体のサイズは、レフ機用の「DG HSM」と比べてかなりコンパクトになったものの、ミラーレス機専用設計のレンズとしては比較的大きめではある。
フードはロック機構付きの花形フードが付属する。
サイズや質感はこのクラスのレンズとしては平均的で、特に可もなく不可もなくといった感じ。
装着例
SIGMA fp
軽量・コンパクトなSIGMA fpに装着するとフロントヘビー感が否めないが、合わせて約1kgとこのクラスのレンズを装着したフルサイズカメラとは思えない軽さとなる。
SIGMA fpを使う場合は、もう少し軽量なレンズを付けたいところだが、このレンズでも使えないことはない組み合わせだ。
LUMIX S5
比較的しっかりしたグリップが付いているS5とは相性が良く、かなり使いやすい組み合わせ。
見た目的にもちょっとゴツさがあり、なかなかカッコいい。
作例と使用感
このレンズの魅力は、なんと言ってもボケの豊かさだ。
35mmという準広角域でありながら、被写体と背景の分離感は「F1.4」の大口径ならではだろう。
こういった解像感の高いレンズは背景ボケもうるさくなる印象があるが、このレンズは絶妙なバランスで解像感とボケの美しさが両立している。
絞っても線が太くなったりすることは無く、絞り全域で繊細で安定した描写をする。
「Artレンズ」の解像力は、2400万画素レベルのカメラで撮った写真でも画素数が上がったのではないかと錯覚するような緻密さもある。
ピント面は高い解像感がありながら、被写界深度も浅いため、アウトフォーカス部分はなだらかにボケていき適度な柔らかさも表現される。
この鮮明さと曖昧さが上手く両立した描写はポートレートにおいても、非常に魅力的な写りだろう。
さすがに絞り開放寄りでは周辺減光が出ないこともないが、編集ソフトで容易に違和感なく消せるレベルだし、味付けとして使うにもちょうど良い加減だ。
「35mm F2 DG DN Contemporary」と比較
筆者はこのレンズの前に「35mm F2 DG DN」を使用していた。
35mm F2 DG DN | 35mm F1.4 DG DN | |
サイズ | φ70.0mm × 65.4mm | φ75.5mm × 109.5mm |
重量 | 325g | 645g |
フィルター径 | φ58mm | φ67mm |
サイズや重量を比較すると、さすがスペックの違いだけあってかなりの差がある。
筆者の場合は、主に家族や友人など人物撮影をメインに行うため、表現の幅を広げるためにより大口径のものに買い替えたが、
ストリートなどのスナップをメインで撮るのであれば、より軽快につかえるIシリーズ(F2モデル)がオススメだ。
使用感に関しては、どちらもSIGMAらしいピント面のキレがあり、AF速度もそれほど大差はないように感じる。
Iシリーズは歪曲や周辺減光に対する補正が少し強めに必要な印象もあるが、RAW現像ソフトの自動補正で十分対応できる。
ちなみに、SIGMAのラインナップには「35mm F1.2 DG DN」という更に大口径の35mmも存在する。
よりボケ感が欲しい人には、そちらも良い選択肢だろう。
最後に
前作と比べるとコンパクトになってはいるものの、正直フットワークの軽いレンズというわけではない。
35mmという画角は、筆者が日常的に使う画角であるため、できればもう少し軽いレンズの方がいいなと感じる場面も多い。
日常的に使いやすい画角のレンズだが、旅行やスナップで記録用に使うレンズであればもう少しコンパクトで軽快に使えるレンズを選ぶ方が良いだろう。
このレンズは作品撮りやポートレートなどの描写力や表現力を必要とするユーザーに是非ともオススメしたいレンズだ。
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