今回紹介するのは、FUJIFILMのXシリーズにラインナップされている「XF16mm F1.4 R WR」という広角単焦点レンズをレビューしていきたいと思います。
16mm(換算約24mm)というとズームレンズの広角端で補えてしまうので、単焦点レンズとして購入するには意外と目が向きにくい画角ですが、
このレンズは ”あえて選ぶ価値のあるレンズ” だと確信しています。
そんな最高なレンズを導入したので、その魅力を最大限にお伝え出来たらなと思います!
XF16mm F1.4 R WR の概要
「XF16mm F1.4 R WR」は換算約24mmの画角に、F1.4という明るいF値を合わせたFUJIFILMの大口径広角単焦点レンズです。
FUJIFILMの他の大口径単焦点レンズのラインナップである「XF56mm F1.2 R」や「XF23mm F1.4 R」と違い、防塵・防滴構造になっていることも特徴の一つです。
他にも、レンズ構成によって広角レンズ特有のディストーションを抑えたり、レンズのコーティングによってフレアとかゴーストへの耐性を高めているのだとか。
まぁ、レンズの仕様はここらへんにしといて、このレンズの超クールな外観も見ていきましょう。
外観
FUJIFILMのレンズと言えば、この黒光りするボディに絞りリングですよね。もちろん、このレンズも同様に高級感漂う黒塗りボディに絞りリングを搭載し、何やら謎の数字まで刻んであります。(たぶんMFの時に使う目盛)
レンズの全長は73mmと、大口径の広角レンズとしてはかなりコンパクトにまとまっています。
フォーカスリングは金属製で、この状態では回らないようにロックされています(詳細は下記)。
ちなみに、絞りリングのクリック感はやや軽め。
フードは、プラスチック製で花形のものが付属しています。もちろん逆付けも可能。
デザインは好きですが、FUJIFILMのレンズラインナップは高級感のあるものが多いので、付属のプラスチックフードはちょっと安っぽく感じてしまいますね…。
AFとMFを瞬時に切り替えられる機構
このレンズにはAFとMFを瞬時に切り替えられる機構が搭載されています。
通常では回らないようにロックされているフォーカスリングを手前にスライドさせることで、フォーカスリングのロックが解除されてMFへと切り替わります。
その際に出てくる被写界深度目盛が最高にカッコいい。これを使ってMFを合わせたことは無いけど…
専用のレンズフード「LH-XF16」
XF16mm F1.4 R WR には別売りのアクセサリーで「LH-XF16」という専用フードがラインナップされています。
アルミ切削製の角型レンズフードで、デザイン性・保護性能・剛性感 に優れています。
レンズフード単体の質量は 約60g。アルミ製なので軽量です。
(さすがに付属のプラスティック製のフードよりも重いけど)
レンズに装着するとこんな感じ。
他メーカーのレンズラインナップにはないようなスタイリッシュな見た目になりますね。
レンズは割とツヤっとした塗装ですが、フードはややざらついた感じの塗装となっています。
若干塗装の質感は違いますが、特に見た目に違和感がある感じはないです。
レンズとフード、フィルターを合わせて質量 約450g と、これでもまだまだ軽量な部類ではないでしょうか。
さすが専用設計だけあって、もちろん四隅がケラレることも無いのでご安心を。
装着例
X-H1
割と大きめのレンズじゃないと似合わないX-H1ですが、フィルター径が67mmと周径が大きいレンズなので見た目の相性はバッチリだと思います。
角型フードの迫力も◎
軽量なレンズなので、構えた時もアンバランスになる感じもありません。グリップがしっかりしているX-H1だとむしろ超安定しているくらい。
X-T30
少しフロントヘビーになるので、片手で操作したりするには少し使いづらいなと感じますが、両手でしかりと構えて撮るなら問題のない組み合わせだと思います。
X-Pro3
X-Pro3のOVFを使う場合、少しケラれてしまいますが、組み合わせとしてはそれほど悪くないと思います。
中型のボディであれば極端にハンドリングが悪くなることもないので、とても使いやすいです。
XF16mm F1.4 R WR の作例
ここから XF16mm F1.4 R WR を使用して撮影した写真を載せていこうと思います。
※ 掲載している写真は全て lightroom にてRAW現像してあります。
広角らしい風景・スナップ
広角レンズらしく風景をダイナミックに撮るのも良いですが、コンパクトに設計されているレンズなので街歩きスナップなんかでも使い勝手は良いです。
作例をみてもらえばわかると思いますが、僕は広角レンズを上手く扱うセンスはありません。
けど、ズームレンズみたいに画角が調整できない分、必然的に構図を意識することになるので、
使い続ければ写真が上手くなる気配を感じる…!
それと、さすが単焦点レンズの描写力。ズームレンズとは違った繊細な写りをしている気がします。
被写体を浮き上がらせるボケを利用したショット
風景写真とかだと絞って撮影することが多いので、ズームレンズの広角端を使うのとあまり変わりません。
なので、せっかくのF1.4という明るさを使ったショットも。
さすがに中望遠の画角のような大きなボケは作れませんが、被写体を強調するには充分なボケを得られます。
広角レンズは写り込みの情報量を整理するのが難しいですが、ボカしてしまえば関係ありません。何となく良い感じに写真を撮れているつもりになれます。
絞り開放でも、ピント面は動物の毛並みやカメラの細かい造形まで写るほど解像力は高いので、
開放付近での解像感の低下なんて心配なく使えます。
広角ポートレートっぽいショット
あまり参考にはならないかもしれませんが、ボケを活かしたポートレートなんかも撮れそうなレンズです。
このレンズでポートレートっぽい写真を撮るとどんな感じなのか、僕なり撮ってみたので一応ご覧ください。
ポートレートと言えば、50mmくらいの標準画角から中望遠の画角なんかで撮られることが多い印象。
ですが、そういった画角のレンズでは、自分のパートナーや友人を撮るには撮影時の距離感が少し気になるところ。
換算約24mmという画角は、手の届く距離間でも上半身くらいまで写るので、被写体とベストな距離感で撮影ができます。
広角特有の歪みやパースペクティブなんかには注意が必要ですけどね。
使用感
ここで、このレンズの特徴とか僕の感じたことを紹介したいと思います。
最短撮影距離15cmで被写体に寄れる
このレンズの最短撮影距離は15cmと、かなり被写体に寄った撮影が可能です。
被写体に寄れるとどんなメリットがあるかと言うと、マクロレンズ的な使い方ができたり、ボケを活かした撮影が可能となります。
マクロレンズって基本的には中望遠の画角のものが多いですし、ボケを大きく作りたい場合もF値の小さい中望遠レンズがポピュラーだと思います。
ですが、このXF16mm F1.4 R WR は広角レンズでありながら、そういった役割まで担うことができます。
もちろん、画角が違うので ”広角レンズ的な写り” ではあるけど。
広角レンズでの撮影が苦手な僕としては、換算約24mmというのはあまり馴染めない画角ですが、
接写ができたり、ボケを活かしたりできるこのレンズはかなり使いやすいなと感じています。
AF-MF のスイッチ機構が便利
絞り開放のF値が F1.4 と明るいレンズですから、広角レンズとはいえ被写界深度は結構浅いです。
被写体に近寄った撮影とかではピント合わせがシビアになるので、そういった時に瞬時にMFに切り替えられるのはかなり便利です。
FUJIFILMのカメラは前面に切り替えダイヤルがあるので、比較的AF-MFの切り替えがしやすいですが、
カメラを構えた姿勢からAF-MFのワンアクション切り替えは圧倒的にストレスフリー。
普段はAFばかりを利用する僕ですが、このレンズを使う時はMFを多用している気がします。
ちなみにですが、このレンズのAFはFUJIFILMにしては早い方だと思います。
フレア・ゴーストが出にくい
さすがなんかすごいコーティングが施されているだけあって(細かいことはよくわからないけど)、ほんとにフレアとかゴーストは出にくいです。
逆光なんかでもほとんどビクともしないし、アングルの自由度がかなり高く感じます。
そりゃ、100%出ないかと言うとそうでもないけど、少なくともこのレンズを使っていてフレアとかゴーストを気にしたことは無いです。
だからと言って逆光とかでお日様をバンバン浴びちゃうと、センサー焼けの原因にもなるので注意が必要です。
軽い
上記でも少し触れましたが、このレンズはかなり軽く感じます。
フード・フィルター込みで 約450g、X-H1と合わせると 1kg ちょっとくらいですかね。
数字だけ見るとあまり軽いようには思えませんが、構えた時やバッグに収納した際の重量感は他のレンズと比較すると大きく差があると思います。
僕はカメラを使用する時は Peak DesingのCaptureで携帯したり、そのまま手に持っていることが多いのですが、
その際のカメラの存在感とか、手の疲労感はかなり少ない気がします。
と言っても、このレンズを導入する前に広角側を担当していた「XF16-55mm F2.8 R LM WR」が比較的重くて大きいレンズなだけなんですけどね…(笑)
広角 + ボケ の組み合わせが最高すぎる
ここが個人的には一番推したいポイント!
このレンズは広角レンズらしい広々とした写りに、ボケという最高の組み合わせを実現してくれるレンズです。
また、広角レンズは広く写せる分、ワーキングディスタンス(レンズ先端から被写体までの距離)を近く保つことができます。
このブログお馴染みの ”ツレ” のようなパートナーを撮ることが中心の人にとっては、あまり距離をとらずにドラマチックに背景をボカしてくれるこのレンズは最高の一本となります。
フリンジは少し出やすい
さすがにF1.4という明るいレンズですから、晴天での撮影や人工照明などのある場所で絞り開放付近で撮影するとハイライト部分にフリンジが出やすい印象です。
これに関しては、明るいレンズ全般的に言える宿命的なものなので仕方ない部分だとは思いますけど。
と言っても、RAW現像で簡単に補正できるので、個人的にはあまり気にしていないです。
XF16mm F2.8 R WRと、どっちが良い?
FUJIFILMの16mm単焦点には、今回ご紹介させていただいている「XF16mm F1.4 R WR」の他に、
「XF16mm F2.8 R WR」というラインナップがあります。
こちらのレンズは、F1.4のものと比べて、値段は約半分、質量が155gとさらに軽量・コンパクトで、AFも速いという特徴があります。
さらに、最短撮影距離も17cmと、F1.4のモデルにも引けを取らない魅力があります。
開放F値以外は全てにおいて圧倒的に勝っている点が多いF2.8モデルですが、
”パートナーをドラマチックに撮ること” を最優先している僕としては、表現力の高い F1.4モデル 一択でした。
というか、F2.8であれば XF16-55mm F2.8 R LM WR の広角端でまかなえてしまうので、なんとも言えないところ。
開放F値が F2 とかなら少し悩んだかも…。
持ち運ぶ機材を軽量化・コンパクト化したい人や、撮影するのが風景とかスナップ中心の人にはオススメかもしれないですね。
最後に
広角単焦点という使いにくそうな印象を受けるこのレンズですが、
広角で風景をダイナミックに写すのはもちろん、接写やボケ表現といった多彩な表現力を持つためかなり使い勝手のいいレンズだと思います。
今となっては、僕の付けっぱなしのレンズとなるくらい気に入ってます。
ファインダーを覗いた時点で違いを感じるほど良いレンズなので、FUJIFILMユーザーには是非使って欲しい一本です。
自分のパートナーを撮影するには、ベストチョイスなレンズだと思います!
この他にもFUJIFILM製品のレビューを書いています。
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