普段は身軽さを重視してコンパクトな単焦点レンズを使うことが多いのですが、そんな筆者でも気兼ねなく持ち出せるズームレンズがSONYのEマウントにはラインナップされています。
今回は、携帯性良し・使い勝手良し・描写良し な広角ズーム「TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD」を作例とともにレビューしていきたいと思います。
TAMRON 20-40mm F/2.8 の概要
TAMRONの「20-40mm F/2.8 Di III VXD」はフルサイズ対応の広角ズームレンズで、開放絞りがF2.8通しでありながらも軽量・コンパクトなボディが特徴となっています。
レンズ構成 | 11群12枚 |
最短撮影距離 | WIDE:0.17m / TELE:0.29m |
フィルター径 | φ67mm |
サイズ | φ74.4 × 86.5 mm |
質量 | 365g |
F2.8通しの広角ズームとしては、とにかくデカい「16-35mm」やコンパクトだけどズームレンジの狭い「16-28mm」のようなものがありますが、そういったレンズと比べると少し特殊な焦点距離になっています。
焦点距離だけで評価すると広角ズームとして考えるとワイド端が、標準ズームとしてはテレ端が少し物足りない中途半端な焦点距離かもしれません。
筐体は半ツヤ塗装のプラスチッキーな素材で、質感としてはそれほど高くないもののスッキリまとまったデザイン。
ズームリングの位置は自然と指を添えられるように配置されていて、ストロークも長過ぎないちょうど良い加減です(35mm〜40mmの間は狭め)。
ズームリングもフォーカスリングもトルク感は若干緩めで、細かい操作はちょっとやりにくいように感じました。
カスタムボタンやフォーカス切り替えスイッチなどの無いシンプルな構成で、レンズ本体に専用ソフトウェア用のUSB-C端子が搭載されています。
珍しいのが、ズームがテレ端の40mmのスタートとなっていて、広角側になるにつれてレンズが伸びる仕様になっています。
最初こそ少し違和感がありましたが、そこまで使いにくいという印象はありません。すぐに慣れます。
ちなみに、広角端の20mmでも約1cm程度しか筐体が伸びないので、重心の変化もほとんど感じません。
フードは一般的な樹脂製花形フードが付属します。
広角レンズのフードは広がりの大きいタイプが採用される傾向がありますが、このレンズのフードは割とコンパクトに収まっています。
装着例
筆者のメインで使用しているSONYの「α7CII」は比較的コンパクトなカメラですが、嫌なフロントヘビー感も無く全体的なバランスはかなり良いように思います。
トータルで約850g程度とフルサイズミラーレスにF2.8通しのレンズが付いているとは思えない重量で、携帯性にも優れたセットアップです。
作例と使用感
※ 作例は全てLightroomで RAW現像したものになります
TAMRONというと純正にはないようなスペックのレンズを作るイメージがありますが、このレンズも独特な焦点距離となっています。
テレ端が40mmまでということに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、40mmという焦点距離は35mmのような準広角というよりは50mmのような標準域に近い使用感でした。
そこから20mmまでの広がりをもった画作りができるので、豊富なバリエーションで写真を撮ることができるスナップに最適なレンズです。
前述したように、一般的な広角ズームに多いワイド端16mmと比べると広角域が少し抑えられたスペックですが、スナップ用途だとむしろ20mmでも十分な広さ。
「本格的な風景や建造物の撮影をするための広角ズーム」というよりは「日常をワイドな視点で残すための広角ズーム」というキャラクターだと思うと、この独特な焦点距離の価値観も変わってきそうです。
肝心な写りですが、ズームレンズとしては十分な解像性能がありながらも、現代のレンズ(このレンズも現代のレンズだけど)にはあまりない優しいトーンも共存しているような印象を受けました。
線は細く優しいタッチで、十分なコントラストがありながらもメリハリを付けすぎていない、
物体それぞれの質感やそのシーンの空気感、光のトーンなど、全体的にナチュラルで落ち着いた写りにまとまっていると思います。
意外にも寄れるレンズなので、焦点距離で困ることはありませんでした。
焦点距離×ワーキングディスタンスの選択肢が多いというのは、スナップ用レンズとしては非常に優秀なポイントだと思います。
広角ズームとしてはボケも好印象で、ボケがうるさくなりやすい高周波な被写体でもあまり雑味を感じないボケ方をしていると思います。
これだけバランスの良いレンズが300g台のコンパクトなボディで持ち運びも軽快、素晴らしい絶妙スペックのレンズです。
まとめ:カジュアルユーザーの広角ズーム入門にオススメ
プロ・ハイアマチュア用途では少し物足りないスペックかもしれませんが、日常記録用にカジュアルユーザーが使う分にはかなり便利なレンズだと思います。
個人的にはSONYのカメラを使うなら広角ズームの入り口として、いや一番最初に購入して欲しいと思うほどオススメした一本です。
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