超広角レンズと言うと持ち運びが億劫になる重量の高級レンズというイメージがあったが、ミラーレスカメラ専用の設計にすることで軽量・コンパクトとなった「14-24mm F2.8 DG DN Art」。
今回は、このSIGMAから発売されている超広角ズームレンズのレビューをお届けしたい。
※リンクはSONY Eマウント用のものです
SIGMA14-24mm F2.8 DG DN Art の概要
「14-24mm F2.8 DG DN Art」はSIGMAから発売されている超広角ズームレンズで、Eマウント版とLマウント版が存在する。
焦点距離(画角) | 14〜24mm(114.2〜84.1°) |
最短撮影距離 | 28cm |
サイズ | Φ85.0mm × 131.0mm |
質量 | 785g |
鏡筒は先端に向かって広がるようなデザインで、SIGMAのArtレンズらしい高級感がある。
フォーカスリングとズームリングはラバー性で、どちらもヌルッとした程よいトルク感のある回し心地だ。
このレンズにはフォーカスモード切り替えスイッチとAFLボタンが装備されている。AFLボタンはボディ側から好きな設定を割り当てることも可能だ。
また、これらスイッチの内部や各所のシーリングにより防塵防滴構造となっている。
レンズ面にも撥水・防汚のコーティングがされているため、さまざまなシチュエーションやフィールドでも安心して使うことができる。
前玉は凸レンズになっており、フィルターは装着することができない。
また、花形のフード一体型の構造で、固定式となっているため着脱不可となっている。
ちなみに、レンズには「ナノポーラスコーティング」というSIGMA独自のコーディングが施されており、フレアやゴーストを抑制し、クリアな描写を実現しているのだとか。
レンズ先端にフィルターを装着することができないため、その代わりとしてマウント部にフィルターホルダーが付いている。
リアフィルターは「ゼラチンフィルター」というものをレンズに付属の型枠を使って自作するみたいだが、社外品の専用フィルターを購入するのが手間もかからなくて良さそう。
このレンズはズームによってレンズの全長が変わらない。
ワイド端の14mmでは前玉が最も前に出ている状態で、ズームに伴って奥まっていく仕様となっている。
レンズキャップは被せ式のキャップとなっている。
着脱が簡単なのは良いが、大きい+分厚いためポケットなどに入れた際の存在感は少し不満だ。
専用のポーチも付属している。
レンズが梱包されていたためサイズ感はぴったりだが、今のところ出番は無い。
装着例
SIGMA fp
さすがにフロントヘビーな組み合わせとなるが、レンズ自体がきっちりホールドできるため(fpにもグリップを付けていれば)安定感はそれほど悪くない。
かなり軽量な組み合わせのため、サブ機としても良いかも。
Panasonic LUMIX S5
大型グリップが付いているS5であれば、カメラのホールド感はかなり良い。
グリップとレンズ間のクリアランスも十分にあるため、カメラを握った際に指が接触することもない。
高いホールド感とボディ内手ぶれ補正によって安定した撮影ができる組み合わせだ。
作例
以下の作例はlightroomにてRAW現像しています
やはり広角レンズといえば風景写真だと思うが、14mmの画角はかなり広い範囲を写すことができる。
これだけ広角だといろんな要素が写り込んでしまうが、画角で情報量を調整できるところがズームレンズのアドバンテージだろう。
また、さすがArtラインのレンズだけあって、高い解像感や歪曲収差の少ない真っ直ぐな写りは気持ちの良い描写だ。
超広角レンズは風景をワイドに切り撮るだけでなく、被写体を少ないワーキングディスタンスで写せることにも優れている。
上の作例のような建造物などの被写体から距離が取れないシチュエーションでの撮影は超広角レンズが役立つ。
F2.8の大口径であるため、ボケ表現を使った撮影も可能だ。絞り開放からキレのある解像性能を発揮するため、ピント面の立体感はなかなかのもの。
ただ、さすがに少しザワついた感じのボケ感ではある。
これだけ広い画角だと背景にいろんな要素が写り過ぎたり、広角独特のパースによって人物が不自然に歪んだりするため、ポートレートに使うにはそれなりのテクニックが必要そう。
ただ、シチュエーションによっては風景と人物をダイナミックに写せるので、面白い写真が撮れるかもしれない。
14-24mm F2.8 DG DN Art の使用感
超広角だからこそ写せる世界観が楽しい
人間の視界は35mmだとか50mmだとか言われているが、このレンズでは人間の視界とはまた違った見え方をする超広角ならではのインパクトのある写真を撮ることもできる。
また、撮り慣れた景色でも違った印象の写真となるため、35mm〜50mmを使うことの多い筆者としては、広角ならではの新しい視点で写真が撮れる楽しさがあるレンズだ。
Artレンズらしいクリアな描写と高い解像感
SIGMAの「Art」シリーズは高い描写性能を追求したシリーズとなっている。
直線的でクリアな描写、高い解像度、絞り開放からでも最高性能を発揮できる。まさに ”Art” の名に恥じない描写性能だ。
細かい評価をすると四隅はやや流れる傾向もあったりするが、筆者のようなアマチュアであればほとんどの人が満足できる写真が撮れるだろう。
手の出しやすいサイズ感とコストパフォーマンス
同社の一眼レフ用の「14-24mm」は1150gとなかなかの重量だったが、ミラーレス用にモデルチェンジした本レンズは795gと大幅に軽量化した。
他社製品と比較して飛び抜けて軽量というわけではないが、携帯性はかなり良い方だと思う。
また、大口径の超広角レンズとしては手の出しやすいコストパフォーマンスもこのレンズの魅力だろう。
SIGMAのキレのある描写と超広角がこの携帯性・価格で手に入れることができるのだから、個人的にはベストバイな広角レンズだ。
フィルターは付けれる構造にして欲しかった
個人的にフィルターが直接付けられないのが唯一の問題だと思っている。
超広角レンズとなると前玉の構造やケラれの関係でフィルターを直接付けられないものも多かったりするが、レンズ保護という意味では不安感が大きい部分だ。
フード一体型の構造によって比較的保護されているとはいえ、フィルターが付けられれば最高だなと思う。
最後に
今までは日常的に使うことの多い標準域〜中望遠域のレンズを選ぶ事が多かったが、このレンズを手にしてからは、また違った視点で撮影を楽しむことができている。
超広角レンズは、“画角が変われば見える世界が変わる” ということを教えてくれるレンズでもあるだろう。
その中でも、「SIGMA 14-24mm F2.8 DG DN Art」は、超広角ズーム・開放絞りF2.8というハイスペックでありながら、携帯しやすいサイズ・重量、手の出しやすい価格が魅力のレンズだ。
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