カメラは機材だけでも沼ですが、「RAW現像」はさらに深い沼になっています。
もう何年もRAW現像プレイヤーですが、いまだに手応えを感じていないジャンルです。
チュートリアルはあれど、テキストを読んだりSNSで話題の人のプリセットを購入したところで、自分の理想のクオリティーにならないのが難しいところ。
好みとか表現方法が個人によって異なるので、RAW現像について書くのはかなり躊躇しましたが、この記事では筆者が意識しているポイントを紹介させてもらいたいと思います。
備忘録的な意味合いもあるので、こんな感じの思考でRAW現像してるんだな〜っていう、参考程度に読んでいただければ。
なお、ただのカメラオタクが独学で培ってきた編集方法を独断と偏見と好みだけで語っておりますのでご了承ください。
(当記事は、特定の個人・団体を否定する目的で執筆されたものではありません。)
筆者が意識しているポイント
筆者が撮る写真は「家族の記録」がメインなので、主な納品先は「妻」です。
「ハイコントラストのクールな感じ」より「明るいキラキラ鮮やか」が好まれる傾向にあるため、ナチュラルテイストが基本です。
エモい雰囲気を出そうとか、シネマティックな世界観は無く、いかに違和感と雑味を消すかが重要になってきます。
以上を前提に、ポイントをまとめてみました。
「主題を適正露出で撮る」が基本
これは撮影の段階で気を付けてるポイントなのですが、できるだけ主題に露出を合わせて撮るようにしています。
先人様たちのRAW現像の極意は「基本的にアンダー(暗め)で撮って、RAW現像で持ち上げよう!」がほとんどです。
要は、シャドウ部は持ち上げたらどうにかなるけど、ハイライトは下げてもどうにもならんから、白飛びしないように撮ろうぜ!ってことなんだと思います。
ただ、筆者は露出を持ち上げた時のシャドウ部ジャミジャミが嫌なタイプなので、できるだけ主題の露出調整を最小限にできるように撮っています。
もう少しアンダーめに撮ればハイライト部の調整ができただろうな、という例を集めてみました。
なんとかカメラの性能に助けられていますが、一歩間違えれば白飛びでどうしようもない写真になっていたかもしれません。
ですが、(ブログ用に圧縮しているのでわからないとは思いますが)シャドウ部のノイジー感は皆無です。
“神は細部に宿る” とよく言いますが、ハイライト部の情報量は少ないけどシャドウ部は細部(=神)なので神の美しさを優先します。
世の中には「白飛び許さないマン」と「ダイナミックレンジ警察」が一定数存在しますが、自分が楽しむ写真は自由なので無視しましょう。
(最近のカメラは優秀なので、無理矢理シャドウ部を持ち上げても画質が維持されていることは多いのでどっちでも良いかもしれません)
「白」の表現は重要
”白って200色あんねん” と近所のアンミカさんも言っていましたが、白の表現はRAW現像においてもかなり重要だと思っています。
でも、実は白の表現って一番難しいと思っていて、適切な色温度と色彩コントロールが必要となってきます。
雑な例を挙げてみます。(ちなみに、基本的にAWBで撮ってます)
こちらの写真は、露出のみ少し調整したほぼ撮って出しの写真ですが、紙コップの白が若干暖色系に引っ張られているような気がします。
こう言った屋内での写真では、照明の関係で白が崩れる傾向があります。
いや、十分白くない?と思ったそこのあなた、白は200色あるってあれほど…
ということで、筆者好みの白に変えていきます。
lightroomの場合、カラーミキサーのターゲット指定で白くしたい場所の彩度を落とせば、TOTOのトイレのごとき白さが出現しますが、写真全体のバランスを崩しかねないのでオススメしません。
筆者はシンプルに「色温度」「色かぶり補正」「カラーミキサー」を駆使して調整しています。
たぶん、最初の写真が好きな人もいるかもしれませんが、この辺りは好みとこだわりの領域だと思います。だって白って200色…(n回目)
というか、むしろこっちが「白の出し方」を教えてもらいたいくらいなので、有識者の皆様ご教授お願いします。
ブルーの「彩度」は躊躇なく下げる
我らがカメラメーカー御三家の「Nikon」さん曰く「青い光は波長がホニャララだから〜」とのことですが、個人的にはこの「青」がかなり厄介だと思ってます。
例えば、地球上の有象無象が空の青さを反射しているのか、青空の下で写真を撮ると何かしら「青」の要素が入ってきます。
これが何に影響するかというと、前述した「白の表現」に影響してきます。
正常な思考であれば空の青さを強調するために「ブルーの彩度」を上げたくなりますが、そんなことするとせっかくの「TOTOホワイト」が「ブルーレット置くだけブルー」になってしまいます。
また白に限らず、「黒」の部分に青が乗ってくることも多いので、青の処理はかなり繊細です。
この“青の侵略”を自然だと思うか、不自然だと思うかは個人差がありますが、筆者は「雑味」として処理します。
ということで、カラーミキサーでブルーの彩度は躊躇なく下げてしまいます。
そうすることで、写真の雑味が取り除かれ、すっきりまろやかな写真に変わるでしょう。
例えば、こちらの写真。
一方はブルーの彩度を調整していないものになりますが、本来「黒」であるはずのカメラが青光りしています。
もう一方は、ブルーの彩度を下げただけのものですが、黒が引き締まって違和感が無くなった印象を受けます。
お次はこちら。
一方は空の青さを強調するためにブルーの彩度を上げたもの、もう一方はブルーの彩度を下げたものになります。
ブルーの彩度を上げると空が青くなって清々しい写真になりますが、本来白いはずの衣服(左半身のシャドウ部)が青くなってしまっています。
筆者にとってはこの青は致死量なので、ブルーの彩度を下げてしまいます。
そんなことしたらせっかくの快晴が台無しじゃないか?いいえ、大丈夫。
我らがlightroomパイセンのマスク機能には「空を選択」というものがあります。
こうやって文明の利器を駆使して、写真を完成させていきます。Adobe最高!lightroom万歳!
ついでにもう一例を。
こちらは友人の愛車ちゃん。
調整前は車がうっすら青くなってますが、ブルーの彩度を下げることで本来の白さを復活させています。もちろん、空のマスク処理も忘れません。
空に限らず本来「青」の物体は己の彩度を失うことになりますが、そこは写真によって調整するしかないかなと思います。
場合によっては、多少めんどくさいですが部分補正も使っていきます。
ただし、SIGMAの「パウダーブルー」のように表現手法としてブルー系の色味に転ばせることもあるので、その場合は例外ですので悪しからず。
フェードをかけ過ぎるべからず
写真を「淡い」「柔らかい」「ノスタルジックな」感じに表現する方法として、トーンカーブの黒(左下のエリア)を上げることで”フェード”をかけるという方法があります。
こうすることで、写真全体の黒がグレートーンに変わって(≒コントラストが下がって)なんか良い感じになります←
筆者もRAW現像でフェードをかけることは多いですが、適度に加減をしないとシャドウ部のグラデーションが失われてしまい、メリハリのない濁ったような写真になる印象を受けます。
それではフェードをかけた例をいくつか。
こうやって見比べると微妙な差ですが、少しマットな質感になって筆者的にも割と好みです。
それでは、次はちょっとやりすぎた例。
これはこれで好きな人もいそうだなとは思いますが、個人的には少しクリアさが損なわれてしまってるなと感じます。
特に天気の良くないシチュエーションや、シャドウ部の要素が多い写真でフェードを強く乗せてしまうと存在感がかなり目立つ印象です。
「白の表現」が重要と前述しましたが、「黒の締まり」も大事にしています。
紳士たるもの、白黒はっきりしましょう。
最後に
いろいろ語りましたが、一つの概念に固執し過ぎると表現の幅が狭くなってしまうので、結局のところは臨機応変に調整していくしかありません。
なんだかんだシチュエーションやシーンによって現像のテイストを変えたりしますし、これといった正解が無いのが逆に面白いところでだと思っています。
他にも、lightroomに関する記事をいくつか書いているので、よかったらご覧ください。
コメント