フィルムの価格高騰や廃版、ランニングコストの高さ、カメラ自体の在庫不足・老朽化などの理由でフィルムで撮ることを諦め、“デジタルでフィルムを再現できないか” というのを考えた人も少なくないと思います。
そこで筆者も“フィルムライク”のlightroomプリセットを作ってみました。
そもそもフィルム写真自体を撮ったのも数回だけだし、フィルムのこともよくわかっていませんが、個人的には面白いものができたと思うので共有です。
筆者的フィルムライクプリセットの設定
まず大前提として、“フィルムライク”っていうのは非常に曖昧な表現だと思っていて、
フィルムの銘柄や現像方法の違い?などによって、フィルム写真の完成形は異なります。
この記事で紹介する設定は、筆者がSNSで見ている何名かのフォトグラファーの写真を参考に完全主観で作成しています。
「フィルムの完全再現」というわけではなく、「“フィルム風”もどき」というような設定で、ある程度の実用性(少ない編集工程で写真を完成できて、違和感の少ない設定)を持たせるように作っています。
なので、今回のプリセットは基本的に「露光量」と「ホワイトバランス」だけ調整すればやり過ぎ感が出ない程度に汎用性があるようになっています。
とまぁ、前置きが長くなりましたが、設定を載せていきたいと思います。
例のごとくプリセットの配布方法はわからないので、掲載している設定をマネして使ってみてください。
(ちなみに、iPad版のlightroomを使用しています)
※ 特記事項の無い項目については編集をしていません
「ライト」の項目
まず露光や諧調を決める「ライト」の項目については、少しだけコントラストが強くなるように設定し、トーンカーブも緩やかなS字を描くように設定しています。
フィルム写真のフェード感も出るように、トーンカーブの左端を持ち上げています。
ここでは後述する設定を相殺するために「露光量」やトーンカーブの中央部は少し高めに調整してあります。
「カラー」の項目
「ホワイトバランス」と「色かぶり補正」については写真に応じて調整するとして、フィルムの淡い感じを出すために「自然な彩度」のみ−10の設定にしています。
カラーミキサーについては、それぞれの「彩度」を下げてデジタル感のある鮮やかさを減らしつつ、「色相」を調整してフィルム感のある色味に調整しています。
フィルム写真といえば“色転び”と思っていて、今回はイエロー系に転ばせるために「カラーグレーディング」で中間調とハイライト部にイエロー系の色を入れて、フィルムっぽい(かどうかは知らないけど)シャドウ部にブルー系を忍ばせています。
「効果」の項目
- 明瞭度:−10
- かすみの除去:+40
- 粒子:30(サイズ:25、粗さ:50)
個人的にこのプリセットで最も重要だと思っている項目が「かすみの除去」で、かすみの除去を強めにかけています。
これだけだと写真のコントラストが強くなってクリアすぎるので、前述した露光量を高めに調整して相殺することで現代デジタルの“空気感が写り過ぎている感”を減らせるような気がしています。(ほんとに感覚ですが)
あとは、フィルムらしい「滲み」を再現するために少しだけ明瞭度を下げたり、「粒状感」を出すために粒子の項目も調整しています。
実際にプリセットを適用した作例
以下に実際に今回の調整を適用してみた作例を載せていきます。
左側が無調整の状態、右側が適用した写真になります。(露光量やホワイトバランスのみ調整してあるものも含まれます)
※クリックで拡大して見れます
最後に
実際のフィルム写真はもう少しコントラストが高かったり、フェードが強かったり、彩度が低かったり、色かぶりが強かったり、ローファイだったりしますが、個人的にはこれくらいの薄味の編集でちょうど良いかなと思っています。
もう少しこだわるなら、クラシックな写りのオールドレンスを使ったり、それぞれの項目を微調整して使ってみると良いかもしれません。
以上、「“フィルム風”もどき」プリセットのレシピでした。
コメント