「50mm F1.8」のレンズは、各メーカーのラインナップに存在する最もベーシックなスペックだ。
「ほどほどの性能で、高コスパ」の“撒き餌レンズ”と称されることもある立ち位置だが、LUMIXのLマウントには「なかなかの性能で、高コスパ」な一本が存在する。
今回は、そんなバランスの良いPanasonicの「LUMIX S 50mm F1.8」をレビューしたい。
概要
LUMIX S50mm F1.8は、描写性能・サイズ・操作性を統一した「F1.8 単焦点シリーズ」の標準画角を担っている一本だ。
このシリーズは、ジンバルなど他機材との親和性に配慮した設計であり、操作性が同じことによる撮影時のアクションを統一できる、フィルターを流用できる、などのメリットがある。
同シリーズのレンズであれば、カメラバッグなどに収納する際にサイズ差がないのも嬉しいポイント。
レンズ構成 | 8群9枚 |
撮影距離範囲 | 0.45m〜 |
外形寸法 | Φ73.6mm × 約82.0mm |
質量 | 約300g(レンズフード、キャップ類を含まず) |
フィルターサイズ | Φ67mm |
外装はプラスチック製で高級感があるわけではないが、ビルドクオリティはまずまず。
それ以上にレンズ自体が軽量だというメリットの方が大きい。
防塵・防滴構造かつ耐低温性能による−10℃でも動作可能という、コストパフォーマンスに反して性能はなかなかプロ仕様。
大抵のシチュエーションでは、気兼ねなくハードに使うことができるだろう。
フォーカスリングがラバー性のため、ゴミが付きやすいというのが個人的には気になるポイントだ。
レンズ自体の機能は「フォーカスモード切り替えスイッチ」のみというシンプルな設計。コンパクトなレンズなので、無駄にゴチャゴチャするよりもこれくらいシンプルな方が使いやすいと思う。
レンズフードは、プラスチック製の丸型フードが付属する。
この価格帯のレンズとしては珍しくボタン式のロック機構がある。もちろん逆付けも可能だ。
レンズ装着例
SIGMA fp
コンパクトなボディにコンパクトなレンズの組み合わせは、言うまでもなく相性が非常に良い。
ちょっとした散歩やストリートスナップなど、機動力を重視したい時に持って行きたいセットだ。
LUMIX S5
いかにもメーカー推奨な雰囲気のある組み合わせ。
レンズとボディを組み合わせても約1kgという十分過ぎるほど軽量で取り回しも良い、使い勝手の優れたセットだ。
作例と使用感
※ 以下の作例は「lightroom」でRAW現像した写真になります。
まずは絞り開放付近での写真を。
コントラストの強いシチュエーションではわずかにフリンジが出たりもするが、通常使用での範囲ではほとんど気になることは無い。
ボケについても、前ボケ・後ボケともにまずまず綺麗なのではないだろうか。
ブログ用に圧縮しているためわかりにくいかもしれないが、絞り開放での解像感はこんな感じ。
バキバキに解像するというわけではないが、羽毛の一本一本がわかるくらいの解像性能は有している。
絞って撮った写真も線が太くなることはなく、この価格帯のレンズとは思えない緻密な画を出してくれる。
描写に特徴が無いと感じる人もいるかもしれないが、どんなシチュエーションでも破綻しない優等生な描写性能だ。
汎用性の高い標準的な画角、軽量・コンパクトな筐体は非常に使い勝手が良く、デイリーユースにピッタリだ。
旅行先での撮影からストリートスナップなど、持ち運びにストレスが少ない分、さまざまな場面で活躍してくれる一本だろう。
開放絞りがF1.8と聞くと少し平凡なスペックにも感じるが、個人的にはポートレートでも十分に使えるボケ量だと思う。
被写体とのコミュニケーションが取りやすい距離感で撮影できるのも、標準画角のメリットだろう。
ちなみにAF性能に関しては、使用するボディの性能にも依存するとは思うが、リニアモーターを採用しているだけあって静かで速い。
人物を撮影する程度であればAF-Cでの追従性も良好で、動画撮影にも積極的に使っていけるレベルだ。
最後に
「50mm F1.8」という”撒き餌レンズ”的なスタンスのレンズとしては少し高めの価格設定ではあるが、
小型軽量、防塵・防滴・耐低温、高いAF性能など、スペック的にも高い次元でバランスが取れていることを考えると十分コストパフォーマンスは優れていると言える。
描写性能に関しても、チープなレンズにありがちなユルい感じは全く無く、多くのユーザーが満足できるポテンシャルだろう。
フォーカスリングにゴミが付きやすいのが不満なくらいで、その他は非常に満足しているため、Lマウントユーザーには是非オススメしたい一本だ。
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