85mmや135mmといった中望遠の焦点距離は好きだけど普段使いにはちょっと狭すぎる、だけど50mmのような標準域ではインパクトが物足りない…、と感じている同志も少なくないはず。
そんな標準から中望遠のギャップを埋めてくれる「SIGMA 65mm F2 DG DN」は絶妙な画角と高い描写力が魅力のレンズとなっています。
今回は、このレンズの使用感について作例とともにレビューしていきたいと思います。
※ 本記事は「SONY Eマウント用」でのレビューとなります。
SIGMA 65mm F2 DG DN の概要
レンズ構成 | 9群12枚 |
最短撮影距離(最大撮影倍率) | 55cm(1:6.8) |
フィルター径 | φ62mm |
サイズ | φ72 × 76.7 mm |
質量 | 405g |
「SIGMA 65mm F2 DG DN」はSIGMAのレンズラインナップ「Iシリーズ」の1本で、65mmというあまりラインナップされていない珍しい焦点距離のレンズとなっています。
筐体は金属の削り出しで作られており、いかにも“金属の塊”という堅牢性の高さを感じられます。
操作系は、フォーカスリング・絞りリング・フォーカス切り替えスイッチというシンプルな構成。
カスタム可能なフォーカスホールドボタンや絞りのクリックON/OFFスイッチなどは非搭載となっています。
フォーカスリングはヌルッとしたグリース感のあるしっとりとした適度なトルク、絞りリングには緩すぎないしっかりとしたクリック感、どちらも操作フィーリングは非常に良好。
サイズに関しては他のIシリーズよりも少し大きく、重量もこのシリーズで唯一の400g台です。
とはいっても十分に軽量・コンパクトで、サブレンズとして持ち運んでもストレスの無い携帯性。
単純に金属製だから高級感があるというわけでもなくて、デザイン、塗装の質感、アクセントとなっているカバーリングのヘアラインなど、レンズ全体の造形美がこのレンズ(シリーズ)の高級感を演出しています。
なのに、このご時世ではバーゲンプライスに感じてしまうほどのコストパフォーマンス。買わない理由がありません。
フードは円形フードが付属します。
こちらも金属製ですが、レンズ本体と直接接触するバヨネット部はプラスチック製で、着脱に伴う金属同士のスレが無いので摩耗は心配なさそうです。
ちなみに余談ですが、筆者は社外品の専用スクエアフードを使用しています。
レンズとは塗装の質感が異なるものの、こちらも金属製でデザインもカッコいいので個人的にはオススメ。
装着例
筆者がメインで使用しているSONYの「α7CⅡ」に装着しても違和感の無い重量バランスで、小型のスリングバックにも収まってしまうサイズ感。
ミラーレスカメラらしいトータルの携帯性が高く、日常の撮影に最適な組み合わせです。
作例と使用感
※ 以下の作例は「Lightroom」にてRAW現像したものになります
このレンズの特徴はなんと言ってもSIGMAらしい解像性能の高さとボケのバランス。
嫌味のあるカリカリ感は無く、ナチュラルなピント面の立ち上がり・なだらかなボケによって背景との分離感や被写体の立体感がしっかり表現されます。
各収差もかなり抑えられていて、筆者の使用シーン内ではフリンジやフレア・ゴーストなどを気にしたことはほとんどありません。
適度な圧縮効果や前ボケを使った奥行き感の演出など、引きの画でも中望遠らしい画作りが楽しめる焦点距離です。
なんとなくありきたりな写真を量産しがちな「50mm」と、インパクトはあるものの使い所が限られる「85mm」のギャップを埋めるような、ちょうど良いポジション。
描写については高コントラストなヌケの良いスッキリとした写り。
現代レンズらしいクセの無い、雰囲気よりも質感表現やリアリティーを重視した描写だと思います。
空間の一部を切り撮ることによって主題を強調できるのが中望遠らしさだと思っていますが、
65mmは画の収まりや情報の整理のしやすさ、被写体との距離感などのバランスが絶妙で、屋内・外問わずに扱いやすい焦点距離です。
24-70mmのような標準ズームのテレ端が近い使用感になってきますが、なんとなく心地良い使いやすさを感じる人も多いと思います。
もちろん、ポートレート?を撮るのにも最適。
ポートレート用中望遠の代名詞とも言える85mmや135mmほどワーキングディスタンスが必要ではなく、被写体ともコミュニケーションを取りやすい絶妙な距離感で撮影できます。
縦、横どちらも構図が作りやすく、近距離から寄って撮るも良し、中遠距離から俯瞰的に撮るも良し、撮れるバリエーションの豊かさも65mmの魅力かもしれません。
最後に
まさにSIGMAの「Iシリーズ」のコンセプト通りではありますが、このレンズはビルドクオリティーと光学性能、常用しやすい携帯性のバランスがとにかく優れているレンズ。
65mmというあまり馴染みのない画角ですが日常の1カットを印象強く残してくれるレンズ、個人的には超絶オススメしたい一本です。
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