写真撮影における”照明”といえば「ストロボ」だが、種類や互換性、使い方など、ただのカメラ好きがなんとなく購入するにはなんとなくハードルが高い。
このブログでの物撮りでもそうだが、屋内での撮影でなにかしら照明が欲しいなと思う場面が意外と多く、Godoxの「ML60」というLEDビデオライトを導入した。
筆者は照明器具やライティングを用いた専門的な撮影に詳しいわけではないが、素人目線で実際に使ってみたレビューをお届けしたい。
Godox ML60 の概要
当ブログの物撮りは、カメラを三脚に立てて長時間露光したり、小型のLEDライトを当てて撮影したりと、いろいろ工夫して撮っていた。
ただ、この方法では撮影に時間がかかってしまったり、部屋の照明の加減で影の向きを調整するのが難しい などの問題があった。
また、家族のイベント事などで屋内撮影の機会も増え、そんな時に手軽に使える照明器具が欲しくなって「ML60」の購入に至った。
前置きが長くなったが、ML60の概要を紹介していく。
本体サイズ | 約145×88×88mm |
重量 | 約770g(本体のみ) |
光量 | 13000LUX(最大60W) |
CRI(演色評価数) | 96+ |
筆者が購入した物の他に、色温度を変えられるアップデートモデル「ML60 Bi」という製品もある。
筆者はセールで安くなっていたため通常のML60を購入したが、販売価格はそれほど差がないため多くの人には「ML60 Bi」を購入することをオススメする。
付属品
- リフレクター
- バッテリーホルダー
- グリップ
- アダプター(アダプターホルダー)
- 電源ケーブル
- キャリングバッグ
いろいろと付属品が同梱されているが、個人的に良いなと思ったのがキャリングケースだ。
意外と嵩張りがちなACアダプターやオプション類をひとまとめにできる。
持ち運びにはもちろん、収納にも使えるありがたいアイテムだ。
外観と操作性
LEDライト本体は金属製の筐体で、塗装の質感もまずまず。値段に比してチープな印象はない。
排熱性を高めるためか、六角形の通気穴が無数に開いている。
本体はかなりコンパクトで、感覚で言うとフルサイズ用の大三元ズームレンズのようなサイズ・重量感だ。
背面側には電源スイッチとダイヤルが2つ配置されており、操作性がシンプルでわかりやすい。
光量は0〜100%で1%ずつ細かく調整ができるようになっている。
「Godox Light APP」というスマホアプリや、別売りのリモコン(RC-A6)を使えば遠隔操作も可能だ。
超静音ファンを搭載しているため駆動時のファンの音がほとんど気にならない。
また、光量は制限されるがより静かな「静音モード」も搭載している。
駆動方式は付属のACアダプター電源を用いるか、「NP-F970」というバッテリーで駆動することもできる。
バッテリーが付属しているセットも販売されているため、屋外や手持ちでも使用したい場合はそちらを選ぶと良いだろう。
専用ディフューザー「ML-CD15」
LED直当てや付属のリフレクターでは光がキツすぎて実用的でないため、光を柔らかくする工夫が必要となる。
ソフトボックスやアンブレラを用いるなどの方法もあるが、それでは設備が大げさすぎて気軽に使えないため、別売りオプションのディフューザー「ML-CD15」を購入した。
本体はシリコン製で、折り畳むことでコンパクトに携帯したり光の拡散具合を調子したりできる。
ML60のオプションマウントは「Godoxマウント」という規格で、最もベーシックな「ボーエンズマウント」という規格のオプションを取り付ける場合は「S2ブラケット」というアイテムが必要となる。
この「ML-CD15」はGodoxマウントに対応しているため、ML60に直接取り付けることができる。
余計なオプションを取り付ける必要がないためコンパクトで取り回しも良い。
ディフューザーを装着することで、光量は落ちてしまうが光が柔らかくなって使いやすくなる。
こういうライティング機材はライトスタンドなどでセッティングするものだが、ただのカメラ好きがそんな便利な物を持っているはずもない。
そのため、筆者はライト本体にアルカスイス互換のプレートを取り付けて、三脚に積載して使用している。
実際の使用感
屋内でも手持ち撮影ができる程度には明るい
参考までに、光の当て方でカメラ側の設定がどのように変わるのか(やや暗めだが)作例を用意してみた。
撮影には「GRⅢ」を使用
ライトは左斜め上の位置から被写体の約60cmから照射(光量:100%)
【設定】
- 絞り優先(Aモード)
- ISO:100
- F5
- EV:+1.0
まず、ライト無しで室内照明のみで撮影した場合、シャッタースピードは1/4となり、手持ち撮影ではやや厳しい設定となる。
オプション無しでライトを直当てすると、シャッタースピードは1/60となり、手持ちでも手ブレせず撮れる設定となった。
ただ、影がしっかりめに写ってしまうため、やや硬い印象だ。
次に、付属のリフレクターを装着した場合、シャッタースピードは1/200となる。これであればもう少し露出補正を高めに設定したり、絞った撮影もできそうだ。
影は直当てと比較すると少し柔らかい感じもするが、少しうるさい印象も受ける。
ディフューザー「ML-CD15」を装着した場合では、シャッタースピードは1/30と気を付けないと手ブレしてしまう設定となるが、影も違和感は少なく、ハイライトも柔らかい感じとなる。
最後に、付属リフレクターを装着して天井バウンスでの撮影。
手持ちで撮影する場合はもう少しISO感度を上げるなどの調整が必要となる設定だが、最も物撮りらしい写真となった。
以上のように、ストロボと同程度までには至らないにしても屋内でも手持ち撮影ができるほどの光量があり、個人的には十分実用的なレベルだと感じている。
どうしても顔が暗く写ったり、ISO感度を高めに設定しないと撮り辛い室内での撮影でかなり活躍してくれている。
誕生日などイベント事での記念撮影のクオリティが1段階上がった気がする。
もちろんRAW現像で調整することも多いが、必要以上に補正する必要がなくなり、上の写真のように室内の照明だけでは目立つ影ができやすい俯瞰撮影も格段に撮りやすくなった。
また、常に光や影の状態がわかるため初心者でも扱いやすいし、定常光は動画撮影にも使えるのが便利だ。
ファンの音も小さいため、動画撮影中もほとんど気になることは無い。
ただ、十分な光量があるとは言え、物撮りのようにF値を高めに設定して手持ちで撮る場合はそれなりにISO感度を上げるなどの調整は必要だ。
演色性も良好
ML60はCRI(演色評価数)が96+と高い。
CRIはの細かい説明は省く(というよりは、完全には理解していない…)が、簡単に言うとライトが被写体の色をどれくらい正確に表現できるかという数値という解釈で間違っていないだろう。
上の作例は室内の照明でのみ撮影したものと、ML60を天井バウンスして撮影したものになる。
少しわかりにくいかもしれないが、室内の照明のみで撮影するより被写体の車や台紙の色がより正確に表現されている。
光の当たり方や影の具合による影響もあると思うが、人肌では照明の有無でより顕著に違いを感じることが多い。
屋内で撮影する場合、照明の色の加減やカメラ側のホワイトバランスの関係で、正確な色で撮れないこともあったりするが、ML60を使えば割と正確に撮れているようにも思う。
グレーカードなどを用いたホワイトバランスの調整方法などもあるが、ズボラな筆者にはありがたい。
コンパクトで持ち運びも取り回しも快適
このライトはかなりコンパクトな設計となっているため、携帯性が非常に高い。
付属のケースでの持ち運びはもちろん、カメラバッグにも収納しやすいサイズ感がこのライトの魅力だ。
LEDライトは光量に比例してサイズも大きくなりがちで、携帯性がストロボには劣るなぁと思っていたが、ML60であれば同じ感覚で持ち運ぶことができるだろう。
また、携帯性が良いだけでなく本体がコンパクトであるため手持ちでライティングする場合でも取り回しも非常に快適だ。
バッテリーで運用したい人にはありがたいポイントでないだろうか。
対して、電源ケーブルはかなり大きめであるため、電源接続で使用する場合はその恩恵は受けにくいかもしれない。
最後に
あくまで屋内撮影の補助光として使う場合は、この製品一灯だけでも十分な性能と使いやすさだ。
やはり、本気のライティング撮影をするのならストロボが有利だが、手軽な照明が欲しいなという人や動画撮影でも使いたい場合はこちらも選択肢としてはアリだろう。
Godoxの「ML60」は、本気でライティング撮影をするわけではないユーザーでも気軽に購入できるコスパと初心者でも簡単に扱える使いやすさが魅力の製品となっている。
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