言わずと知れたバカ売れvlogカメラの「Osmo Pocket 3」を“動画用サブ機“として購入したので、動画に関してはほとんど素人の筆者がしばらく使ってみたレビューをします。
主観的な内容がベースですが、「このカメラをきっかけに動画を撮ってみようかな?」と思っている一般ユーザー目線に近いレビューになっていると思います。
Osmo Pocket 3 の概要
「Osmo Pocket 3」はDJIから発売されている主に動画撮影を用途としたジンバル一体型のカメラです。
その名の通り、これまで2世代に及んで進化してきましたが、3代目となってソフト・ハードともに大幅にアップデートされました。
サイズ | 139.7×42.2×33.5 mm(長さ×幅×高さ) |
重量 | 179g |
モニター | サイズ:2.0インチ 解像度:314×556 輝度:700ニト |
ジンバル | 操作可能範囲 パン:-235°〜58°、チルト:-120°〜70°、ロール:-45°~+45° 機械的可動範囲 パン:-240°〜63°、チルト:-180°〜98°、ロール:-220°~63° 最大可動速度:180.0°/秒 角度ぶれ範囲:±0.005° |
カメラ | センサー:1インチCMOSセンサー レンズ:焦点距離 20 mm、絞り:f/2.0、フォーカス範囲:0.2 m 〜 ∞ |
バッテリー | 容量:1300 mAh 動作時間:166分 |
従来機よりも大型の「1インチセンサー」が搭載されたことによって、さらに高画質の動画が撮れるようになりました。
本体サイズも大きくなってほぼ別物のカメラとなりましたが、それでもちょうど手に収まるサイズ感。
回転式のモニターが採用されているのが特徴で、モニターの大型化と昨今のSNS需要に対応した縦動画の撮りやすさを両立しています。
操作系はジョイスティックと録画ボタンのみのシンプルな構成で、主にタッチ操作がメインとなります。
物理的なスイッチやダイヤルなどが少ないので直感的な操作感ではありませんが、UIがシンプルでわかりやすく、タッチ感度も良くてサクサク動くので快適です。
グリップのホールドできる範囲は狭いですが、モニターを展開させることでできる「OSMO」ロゴ周囲のスペースはサムレスト的にも使えます。(マイク位置には注意が必要ですが)
付属のグリップは軽量でデザインの統一感もあり、簡単にグリップの延長と三脚ネジの利用が可能となります。
本体のみでは他アクセサリー類の拡張性が無いため、目的に応じてこういったオプションを活用していく必要があります。
オプションは純正からサードパーティー製まで多くラインナップされているため、撮影スタイルに応じたセッティングができるのもこのカメラの楽しみ方です。
余談ですが、筆者は付属品が不要だったため「スタンダードコンボ」を購入しました。
差額的には本格的に動画を撮るわけじゃなくても「クリエイターコンボ」が圧倒的にオススメですが、日常記録用途なら「スタンダードコンボ」でも十分です。
「DJI Care Refresh」も同時加入するのがオススメ
DJIには「DJI Care Refresh」という別売りの保証サービスがあり、少額の掛金で1〜2年の期間で製品交換を受けることができます。
新品購入したものや購入後30日以内の製品でしか対象とならないため、マストではないもののかなり魅力的なサービスとなっているので同時加入がオススメです。
実写レビュー
動画作例
画質
重要なポイントは “(最も馴染みのあるカメラである)スマートフォンではなく、あえてこのカメラで動画を撮る必要があるのか” だと思いますが、解像感や明暗の階調、色調など圧倒的な画質の差を感じることができます。
ジンバルによる手ぶれ補正のおかげもあって、簡単にハイクオリティーな動画が撮れます。
作例動画は「D-logM」というフォーマットで撮ったものを色編集していますが、ノーマルカラーでも鮮やかで非常に綺麗な映像を撮れます。(むしろ素人が下手に編集するよりノーマルの方が綺麗かもしれません)
やはり、1インチセンサーの「動画用カメラ」としてしっかりチューニングされているなというのは感じられる画質でした。
ただ、カメラアプリやミラーレスカメラなどと違っていわゆるカラーフィルター機能がありません。
動画の色味を変更したい場合には同社アプリの「DJI Mimo」などのような編集アプリを使用する一手間が必要となります。
AF性能
AF性能は精度•速度などに不満はありません。むしろこのサイズ感でこの性能には驚きました。
特に被写体トラッキングの精度や追従性能が非常に優れており、被写体が少し離れた場所にいても正確にフォーカスしてくれます。
一方で、動画用カメラとしてはフォーカスブリージングはやや目立つように思います。
ピント位置が前後に大きく移動するような場面ではちょっと違和感を感じるかもしれません。
音質
音質については「クリエイターコンボ」にも付属している「DJI MIC 2」の性能が注目されがちですが、実は本体のマイクもかなり優秀です。
本体には3つのマイクが搭載されており、環境音を含めて撮影者・被写体それぞれの声もしっかりクリアに録ることができます。
また、指向性を「全方向」「前方」「前方&後方」から選択することも可能なので、使用シーンや環境に応じて最適な設定で録音することもできます。
(作例動画には音声を入れていないので、他の動作などで確認していただければ…)
画角
20mmという焦点距離はセルフィーでvlogを録るにはちょうど良い画角ですが、スナップ的に風景やオブジェクトを撮るにはやや広過ぎると感じる場面もありました。
スマートフォンのカメラとは異なるあまり馴染みのない画角なので、慣れるまでは被写体との距離感などに少しギャップを感じるかもしれません。
ズーム機能も一応あったりしますが、タッチ+スティック操作という直感性に欠ける操作が必要だったり、画質的にも実用性は低い印象でした。
写真作例
1インチセンサーを搭載しているので静止画も意外に綺麗で、換算20mmの広がりのある写真を撮ることができます。
画素数については16:9「3840×2160」で、十分にシャープでクリアな写真が撮れます。
撮って出しでは、ややビビットな印象を受けるシーンもありますが、全体的にはナチュラルな色彩表現。
太めのバキっとした線で、ボケも含めて全体的にハッキリとした硬めの写りだと思います。
(以下の作例は「Lightroom」でRAW現像したものです)
(一般的なミラーレスカメラなどと比べると)センサーサイズは大きくないのであまり期待していませんでしたが、意外にも階調コントロールや白飛び・黒潰れの修正、色味の調整は可能なのでRAW現像もそれなりにできました。
シャッタースピードとISO感度、WBはマニュアルで調整できますが、基本的にはオートでパシャパシャ気楽に撮るのが良さそうです。
良かったポイント
気軽に持ち運べる携帯性
ミラーレスカメラやコンデジのようなボックス型ではなくスティック型であるため、ポケットやバッグのちょっとしたスペースなどに収納することができます。
使いたい時にサッと出せる場所に収納できる携帯性の高さは“動画用サブ機”としては最高なポイントです。
「2.7K」が撮れる
このカメラは動画の解像度やフレームレートの調整幅が豊富です。
その中でも個人的には「2.7K」が設定できるのが気に入っています。
まだまだ実用的ではあるものの画質的にやや時代遅れな「FHD」と、画質は良いけど保存容量が大き過ぎる「4K」の間のちょうど良いフォーマットで、
日常記録用途でバンバン撮る人にとっては画質とストレージのバランスがちょうど良いと思います。
気軽にセルフィーが撮れる
さすが「The vlogカメラ」だけあって、ジンバル機構のおかげで手持ち撮影でも気軽に高画質なセルフィーを撮ることができます。
スマホのフロントカメラのように画質が低下することもないし、被写体トラッキングのおかげでモニターを確認しなくても自分をしっかりフレーム内に収めることができます。
このカメラがあれば、旅行などでの思い出撮影のクオリティーがグッと上がります。
イマイチなポイント
イマイチというか、思ってたのと違ったギャップについても紹介しておきます。
専用ケースの構造
付属のケースはジンバルの一部が露出(むしろ一面がさらけ出しの状態)しているし、意外と大きくて嵩張るし、ロック機構などもありません。
サッと取り出せる速写性には優れているのかもしれませんが、ケースとしての性能はイマイチ。
筆者はロック機構があってジンバルとモニターがしっかり保護できるものを別途購入しました。
フィルターを収納できなかったりクッション性に関しては不安がありますが、付属のケースよりは使いやすいです。
アスペクト比の選択肢が少ない
写真も動画もアスペクト比に関しては選択肢が「16:9」か「1:1」しか選択することができません。
動画に関してはあまり気になりませんが、写真に関しては普段のカメラで撮る写真と統一感を出すために「3:2」くらいは選択肢に欲しかったお気持ちです。
取り扱いには少し気を使う
ジンバルはメカニカルな構造故に非常にデリケートで故障しやすいらしい。そして防塵防滴じゃない。
気軽に持ち運べるサイズ感が魅力ではありますが、持ち運び方法や使用するシチュエーションによっては取り扱いに少し気を使います。
最後に
今までは写真をメインに日常を記録することが多かったのですが、OSMO POCKET 3 を使うようになってから圧倒的に動画を撮る機会が増えて、「写真+動画」で思い出が残しやすくなりました。
カメラよりもカジュアルに、スマホよりも本格的に。
これ一台でvlogを撮るも良し、動画用のサブ機としても良し、すごく良いポジションのカメラだと思います。
とにかく気軽(身軽)にハイクオリティーな動画を撮りたい、そんな人に最もオススメできるカメラだと思います。
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